糖尿病内科とは

糖尿病に罹患している患者様、あるいは糖尿病予備群であるとされる方を主な対象とした診療科になります。

健康診断の結果、血糖値に高値の判定が出たという方につきましても、糖尿病発症の可能性が疑われます。
この場合は、発症の有無などを調べる詳細な検査が必要となります。

なお糖尿病の発症初期は、自覚症状が出ないことが大半ですので、放置することも少なくありません。
ただこれを続けると、血管障害を引き起こしたり、動脈硬化を促進させて重篤な合併症を発症させたりすることもあります。

このようなことから、身体にこれといった異常がなくても血糖値に関する指摘を受けた方は、一度当クリニックをご受診ください。

糖尿病とは

血糖値が慢性的に高くなっている状態のことを糖尿病といいます。
そもそも血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖(グルコース)の濃度を数値化したものです。

この血糖値は、食事をしたり、糖分の多いジュースを飲んだりすることで、誰でも上昇するようになります。
ただブドウ糖は、脳や身体のエネルギー源となるべく、細胞に取り込まれるので、それによって、血糖値は元の数値に戻るようになります。

ただ何らかの原因によって、数値が下がらず慢性的に上昇してしまうこともあるのです。

診断をつけるにあたっては、血液検査を行い、血糖値やHbA1cの数値を測定することで発症の有無がわかるようになります。
具体的な診断基準については、以下の通りです。

①血糖値の数値:早朝空腹時血糖値が126mg/dL以上、もしくは75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値が200mg/dL以上、あるいは随時血糖値が200mg/dL以上
②HbA1cの数値:6.5%以上

※①と②の条件に該当するという方は糖尿病と診断されます。①あるいは②のどちらかが当てはまるという場合は「糖尿病型」と診断され、再検査となります。前回と同様の条件下で行い、それでも①か②の一方だけ該当するとなれば、糖尿病となります。

糖尿病の種類について

血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれるには、膵臓から分泌されるホルモンの一種インスリンの働きが不可欠となります。
つまり糖尿病は、このインスリンの作用不足によって引き起こされます。
このような状態になると、血液中でインスリンは減ることがなくなり、増えていく一方でダブついてしまい、慢性的に血糖値が上昇したままとなるのです。

なお一口に糖尿病と言いましても大きく4つのタイプに分けられます。
ひとつは、インスリンを作成する膵臓のβ細胞が自己免疫反応などによって破棄され、インスリンがほぼ分泌されなくなる1型糖尿病です。
1型については、子どもや若年成人の患者数が多いのも特徴です。

また2型糖尿病は、全糖尿病患者様の9割程度を占めるとされるもので、糖尿病になりやすい体質に加え、日頃の不摂生な生活習慣(食べ過ぎ、運動不足、多量の飲酒、喫煙等)の蓄積などが組み合わさることで発症するといわれています。
中高年世代で発症することが多く、膵臓は疲弊した状態となっており、これによってインスリンの分泌量が十分でなかったり(インスリンの分泌量不足)、量が十分でも効きが悪い状態(インスリン抵抗性亢進)であったりしています。

上記以外では、その他の病気(肝疾患、内分泌疾患 等)や薬剤の影響(ステロイドの長期投与 等)に伴って発症するなどの二次性糖尿病があります。
さらに妊娠によって胎盤から分泌されるホルモンが、インスリンの効きを悪くさせることで血糖値を上昇させてしまう妊娠糖尿病というのもあります。

主な症状について

先でも触れましたが、発症初期で自覚症状がみられることは、ほぼありません。
ただある程度まで病状が進行すると、喉の異常な渇き、多飲多尿、全身の倦怠感、食欲はあるが体重が減少していくなどの症状が現れるようになります。

それでも放置を続けていくと、血管障害を招くようになります。
とくに細小血管が集中する、網膜、腎臓、末梢神経で発症しやすいことから、これらの部位で起きる合併症は糖尿病三大合併症(糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害)と呼ばれています。最悪の場合、失明や足の壊死がみられたり、人工透析が必要となったりするので注意が必要です。

また太い血管(動脈)では、動脈硬化を促進させるので、こちらも無治療が続けば、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)や虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)など重篤な合併症の発症リスクが高くなります。

このような状況に陥らないためにも、血糖値の上昇に気づいたら医療機関を受診し、必要であれば治療や予防対策を行うようにしてください。

治療について

1型糖尿病の患者様については、体内のインスリンが圧倒的に不足しているので、体外からインスリンを補充していく、インスリン注射を行っていきます。

2型糖尿病の患者様では、わずかながらもインスリンが分泌されているので、まずは日頃の生活習慣を見直していきます。

最も大切なのが食事療法です。
日頃から食べ過ぎてしまうのは、膵臓に大きな負担をかけることにつながるので、適正なカロリー摂取が求められます。
1日の適正エネルギー摂取量の目安については、次の通りです。

適正エネルギー摂取量=標準体重(kg)×身体活動量(kcal)

標準体重
身長(m)×身長(m)×22

身体活動量
デスクワークなどの軽労働 25~30kcal/kg
立ち仕事の多い職場 30~35 kcal/kg
重労働(力仕事などが中心) 35 kcal/kg以上

また食事内容も大切で、炭水化物、脂質、タンパク質の三大栄養素をバランスよく摂取していくことも大切です。
例えば、炭水化物は総エネルギー摂取量の50~60%にする、タンパク質は1日約50~80g摂取する、脂質は総エネルギー量の25%以下にするといったものです。

上記のことだけでは、どのような食事メニューにすればわからないという場合は、食品交換表をご活用ください。

このほか、日頃から身体を動かすことはインスリンの働きを改善させることにもつながるので運動療法も取り入れます。

内容としては、有酸素運動が最も有用とされ、中強度の強さ(息がやや上がる程度)で、ウォーキングなら1日30分以上行うようにします。

継続的に行うことが重要なので、可能であれば毎日が望ましいです。

上記のみでは、血糖値のコントロールが難しいという場合は、併行して薬物療法も行います。

この場合、経口血糖降下薬が用いられますが、患者様の糖尿病のタイプなども把握しながら、インスリン抵抗性を改善させる薬(ビグアナイド薬、チアゾリジン薬 等)、インスリンの分泌を促進させる薬(スルホニル尿素薬、速効型インスリン分泌促進薬 等)などが用いられます。

薬物療法でも効果がみられないとなれば、1型糖尿病の患者様と同様にインスリン注射となります。